「質問主意書その①」

2016年10月17日

 皆さん、質問主意書という言葉をご存知でしょうか?
これは、国会議員が内閣に質問する時の文書を指し、内閣総理大臣の名前で答弁されるものです。
柔道整復師業界で言えば、平成15年1月31日に「亜急性の定義」について、小泉純一郎内閣総理大臣名で答弁された質問主意書が有名であり、ご存知の方も多いと思われます。
この時、『「亜急性」とは、身体の組織の状態が急性のものに準ずることを示すものであり、「外傷性」とは、間接等の可動域を超えた捻れや外力によって身体の組織の状態が損傷を受けた状態を示すものである。』と答弁されました。
柔道整復の支給対象は、「急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲、捻挫、肉離れ等」と定められおり、この質問主意書は亜急性というものをあらためて国が示してくれたものです。
これら質問主意書ですが、過去にこのような質問と答弁がされたことがあります。
柔道整復師と同じ国家資格を持つあん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師に関するものです。
提出された時期は戦後間もない昭和23年1月、吉田茂内閣総理大臣の時代です。

【質問】
あんま、はり灸師は勤労層を対象とする民間療法として広く國民の保健衛生の一端を担当している事は御承知の通りであり、その業務の性質上身体を駆使する激しい重労働でもあり治療時間が深夜に亘る等特殊の実情にある。特にこれら業者中には盲人が多くヤミの買出し等も出来得ず非常にこんなんな生活をしている実情である。
政府は、炭坑労務者が重点産業の労務者に対しては、優先的に加配をして居るがこれら労務者の明日の体力を與えているこれら業者に対し加配米の支給をなす意思なきや。
いくら加配米等を受けている労務者も腰が痛み肩がはつては増産は出来得ない、これら体力源とも云うべきこれら業者の空腹は一つに増産の減少を来すものと云うも過言ではない。これら陰に黙々と働くあんま師等に対し、早急に加配し保護する意思ありや。
書面答弁を求む。

【答弁】
現在行われている労務加配主食の配当基本計画及びその需施は〇に発表した通りでありますが、かく加配基準の増加及加配対象範囲の拡大が出来たと申しますのも米國及連合軍総司令部の特別好意ある配慮と農民の努力による本年産麦及馬鈴薯の供出の親展並びに米及甘藷の良作見込によったと云うことは御承知の通りであります。
さて現行の加配対象業種は労務加配主食の総枠の範囲内において、その重要性及必要熱量等を考慮して決定したものであります。その内医療関係に就きましてはベッド数10以上の病院の医師、看護婦で徹夜勤務をやる場合にのみ加配を実施しており他には全然行っておりません。
右のような次第で今の所では他業種との均衡及現在の食糧事情等からあんま、はり灸師に対する主食の労務加配の実施は困難な状態であります。

戦後復興の重点産業で働く労働者の痛みを治療する、あん摩師やはり師・きゅう師たちの空腹も満たしてほしいという内容です。
麦や馬鈴薯、連合軍総司令部など時代を感じさせますね。

〇あんま、はり灸師に加配米配給に関する質問主意書
「質問」(PDF)
「答弁」(PDF)

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